280人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はなんとか腕の中を抜け出し、絆創膏をもらって貼った。
「で、別に血を吸う気もない吸血鬼さんが俺に何の用ですか?」
「いや、顔見に来ただけだよ。元気にしてるかな―って」
(何でそんなこと気にするんだろう…吸血鬼ってもっと非情でクールなもんじゃないの…?)
それはあくまでお伽噺の話なんだろうか。
まさかまた法律とかそういうんだろうか。
「気に入ったんだ、ゆずのこと」
「は?」
見透かしたようにコウモリさんは答えたが、若干意味不明だ。
「だーかーらっ」
急にコウモリさんの手が俺の顎を掬い上げた。
「お腹が空いたらゆずのとこにくるよ」
最初のコメントを投稿しよう!