春眠暁を覚えず

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俺はなんとか腕の中を抜け出し、絆創膏をもらって貼った。 「で、別に血を吸う気もない吸血鬼さんが俺に何の用ですか?」 「いや、顔見に来ただけだよ。元気にしてるかな―って」 (何でそんなこと気にするんだろう…吸血鬼ってもっと非情でクールなもんじゃないの…?) それはあくまでお伽噺の話なんだろうか。 まさかまた法律とかそういうんだろうか。 「気に入ったんだ、ゆずのこと」 「は?」 見透かしたようにコウモリさんは答えたが、若干意味不明だ。 「だーかーらっ」 急にコウモリさんの手が俺の顎を掬い上げた。 「お腹が空いたらゆずのとこにくるよ」
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