春眠暁を覚えず

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ぐるぐる考えてるうちにコウモリさんはいなくなっていた。 時間はとっくに一時限目を過ぎていて、でもなんだか授業に出る気にもなれない。 俺は惰性と不安感のままに簡易ベッドに横たわった。 少し固いがなかなか心地いい。 (ちょっとだけ忘れよう……後で考えることにしよ…) 眠ることは逃避にも状況整理にもなるはしいし、とか適当な理由で自分の惰性を許すことにした。 --------------- --------- ------ 赤い月がピンク色の空に熔けている。 足元からは黒い花と白い花の花畑がどこまでも続いていた。 サクサクと花を踏む音に、自分が歩いていることが分かる。 ピンクと白黒の視界は際限なく続いていて、歩くことに何の意味があるのかは分からない。 途方にくれながら歩いていくうち、不意に白黒の花の中でただ1つ青い花を見つけて摘もうと手を伸ばした。 「触れてはいけない、今は」 声が聞こえた瞬間、白い花に火が灯ってたちまち花畑中に広まっていく。 微かに人影が見えた気がしたが、すぐ焔に阻まれて見えなくなってしまった。 (彼は、大丈夫かな…) 俺は焔の中でただ、人影の安否が気になっていた。
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