五里霧中

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「あ、スミマセン…。ちょっとびっくりしちゃって…。ちゃんと手入れされてる祠だなぁっ見てたんですよ」 因みに俺は初対面なら同世代でも敬語派だ。 「……へぇ、祠を。嬉しいな……… …その祠、ね。俺の持ちもん、なんです」 関西風の訛りが混じる柔らかい標準語と独特の間で青年は答えた。 「あ、じゃあ手入れしてる人なんですね!……もしかして、勝手に入っちゃ駄目でしたか…?」 俺が慌てて聞いたら、青年は目を細めて微笑した。 少し皮肉っぽい笑いにも見える。 「別に…入ろうが、荒らそうが、構いませんよ……掃除するのは、俺じゃあありませんからね…」 「…そ、そうですか……」 そういうもんじゃない気がする。 (この人、少し苦手だ……)
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