五里霧中

8/13
前へ
/65ページ
次へ
少し気まずかったけど、俺はぎこちなく会話を進めていった結果、青年のことをいくつか知ることが出来た。 彼は名家の出で、全国にいくつかの土地を持っていること。 ここらへんに来たのはほんの数日前だということ。 今度俺の学校に転入すること。 「ツガイケ」という名前だということ。 「ツガイケ…ってどんな字で書くの?」 そういえばタメ語の許可も貰った。 「……こうです」 ツガイケは地面に屈むと、ポケットからチョークを取り出して「栂池」と書いた。 「チョーク、持ち歩いてるのか?」 「…えぇ。何かと…入り用なものでしてね……」 (何かとって何って聞いたら怒るのかな…) 「どうしました……?」 「あ、いや、何でも」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

280人が本棚に入れています
本棚に追加