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「…泣くんですか?」
今までで一番はっきりと栂池が言ったから、俺はハッとして出かけた涙を拭った。
「な、泣きたくだってなるだろ!……死ぬかもしんないし…」
「………助けて、あげましょうか…?」
一瞬栂池が何を言ったのか解らなかった。
(助けるって………?)
「…聞いてます?……助けてほしく…ないんです、か?」
「え!いや、助けてほしい!!あの、だけど…どうして?」
慌てて聞き返すと、栂池は怪訝そうな顔でため息をついた。
(俺、何か変なこと言ったっけ)
こちらも怪訝そうな顔で黙っていたら、しかめっ面はそのままに栂池が喋りだした。
「……どっちの『どうして』ですか…
何故…と、言うならば儲けになるからですし…
…どうやって、ならば説明いらず…」
間を置いてから「ですよ」と付け足した口元が微かに上がって、見下したような表情を作った。
ムカつく。
「儲けって?」
「……まぁ、専門職と言いますか……
……祓い屋を、営んで…ますから」
祓い屋。
お祓いとかするのかな?
お祓いって吸血鬼にも効くのか?
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