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仕方なく布団に潜り直すために起き上がった。
冷えた風が頬を撫でた。
ゆっくり闇が部屋の輪郭をにじませる。
「お、起きた?」
「………ッ―――!!!」
声にならない声で窒息しかけた。
来やがった、とうとう!
(吸血鬼…っ!!ああぁ、)
背中が緊張と恐怖で強ばっている、動きにくい。
それをどうにかしたくて乱暴に息を吸った。
「ねぇ」
「……、」
返事の代わりに息を呑む。
「ちょっとここにいていいか?俺、追われてるんだ」
「…!」
(栂池……!!)
もし栂池なら、あんなに自信満々に倒すと言い切った栂池ならきっとここまで来てくれる。
…俺は、
『……君は…狼が食べにくるのを、待てば、いいんですよ…
そしたら…』
そしたら、栂池が助けてくれる…はず。
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