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「妙に緊張してるな…
前に会った時と随分印象が違うのは、ただ単に寝起きだからかな?」
「………」
「あぁ、別にいいんだ。
気に触ったならごめんな」
緊張を言い当てられて言葉が出てこない俺に、少し伏せられた赤が苦笑いを返した。
(…あんまり喋らないのは引き留めとくのに良くないかもしれない
でも、)
「恐い?」
「…!!
何が、ですか」
心を読まれたようなタイミング。
思わず声が裏返ってしまった。
「……俺が。
前より元気がないのもやつれたように見えるのも、俺が恐かったからか?」
「……、そうです…」
ふぅ、とため息をつく音が静かな部屋ににじんだ。
(怒らせたか…?)
窓が逆光になっていて彼の顔はほとんど見えない。
つむってしまったのか赤も見えず、ただ黒い塊が動かずにそこにある。
「悪かった」
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