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「え…?」
突然投げ掛けられた言葉は意外だった。
いや、多分彼が俺の命を脅かす吸血鬼でさえなければ、自然なことに思えたんだろうけど。
「そんなに恐がられるとは思わなかったんだ、ゆずは元気が良かったから。
…すまない」
「あ……いえ、えっと」
どう返したらいいか分からなくてしどろもどろしていると小さく息が漏れた音がした。
影が微かに揺れている。
(…笑われた!)
冷えきっていた背筋に急に熱が通う。
(くそ、何か恥ずかしい…)
俺は細められている赤を軽く睨んだ。
それに気づいたのか影は揺れるのを止めて、赤も元の大きさに戻っていた。
「…わるいね。
なんだかゆずを不愉快にしてばかりだな、俺は」
「……そんなことは…」
(あるだろ。むしろありありだ)
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