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(でも、ここでそれを言ったら引き留めにくくなるかもしれない……)
(………それに、
…そんなこと言う気に、なれない)
(…何でだろ)
(…変な吸血鬼だ)
「……ゆず」
「はい?」
「…ほんとはさ、もっと…違う方法がな、あったんだよ」
「…何のですか…?」
唐突にコウモリさんが喋り始めて俺は少し戸惑った。
「血をもらう方法…
もっと痛みがなくて、痕も目立たない方法があるんだ。
ただ、いきなり見知らぬ人間にするには抵抗があって…そうしてるうちにどうしても飢えて…
始めのうちは全然気にならなかったんだがな、ゆずに会って、人間も俺達とそう変わらない感情があるって分かって…
…今更後悔してるんだ
ごめんなさい…」
それきりコウモリさんは下を向いてしまった。
本当に後悔してるんだろう。
胸のうちを素直にさらけ出す、紳士的な懺悔。
(…でも、何だか違和感がある……)
いや、何だかなんて前置きは要らないだろう。
俺はもう気づき始めている。
(…何でコウモリさんがここに現れたか)
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