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背筋にピリッとした感覚に思わず声が漏れた。
「あ、あの、……」
「………あ―」
予想外、間の抜けた呟きに続いて苦笑気味の返事が返ってきた。
「……俺は見るの初めてだけど…普通のことらしいから、気にしなくていい…からな?」
(普通……!?
俺の性癖、普通なの!?
いやいやそんな訳無いでしょうが!!)
「それって……ン、…っ!」
反論しようとした言葉は鈍い快感に飲み込まれた。
強く吸われて足が震える。
傷口の周りをぐるりと舌が巡って唇は離れた。
「…は、…ぅ……」
「…ぷは、傷口からだけじゃ、やっぱ少ないか…
ま、いいか。…『勿体無い』からだしな」
ここで苦笑の1つも返したいとこたが、俺はそうもいかなかった。
中途半端に火照った身体が辛い。
いつもの「献血きもちいです」とは桁違いの快感が足指の先を痙攣させている。
「…………」
「…、………は」
する、と頬を撫で上げた指先はひんやりしていて気持ちいけれど、微かな刺激がすごく辛い。
「……や、です…それ…」
「あぁ、ごめんな…」
そう言いつつも相変わらず涙ぐんだ目元を擦ったり輪郭をなぞりつづける。
(何を…)
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