春眠暁を覚えず

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気がつくと俺は布団の中で、暗い天井が視界にぼんやりと写っていた。 目の奥で明るい映像がちかちか見え隠れして消えていった。 夢を見ていたのか。 でも夢の中身がよく思い出せなくて、あんまり気分良くなかった。 ぼんやり天井を眺めつつ、とりとめもなく考えを巡らしていたら、ふと大事なことに気付いた。 暗い道の所から記憶はぷっつり途絶えているのだ。 「あれ…?俺、何で……」 部屋にいるんだ? 途端、夜の帳に聞き慣れない男の声。 「俺が運んできたのさ、少年」
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