春眠暁を覚えず

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「う、うわああぁっ!!え、あ………」 暗がりから影が近付いた。 背の高い、細身の男。 「はは、怖がりすぎ。…ま―無理ないかね」 月明かりで微かに見える双眸が赤い。 それをゆっくりと細めて彼は微笑んだ。 (運んだ…?俺、倒れて……森の前で…) 何で倒れたんだったか… 男の笑みに少し混乱がとれたのか、頭が回りだした。 それでも、さっきの夢の残りが呆けた思考を苛んでいる。 「…あ……有難うございます…」 とりあえず、礼を言った。
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