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「ねえ、金いらないの?」
文憲はベッドでビールを飲みながら言った。
「いらないよ、別にお金目当てじゃないし」
彩乃はシャワーですこし濡れた髪をかきあげながら言う。
「よく、こういう事するの?」
「まあね」
彩乃は意味深な目で答える。
でも実は、今日まで彩乃は25になっても体験人数は一人だった。
5年付き合っていた彼氏だけ。
「じゃあ、帰ろうかな」
「もう帰るの?」
「今日、大事な用事があって」
そう彩乃は、あと何時間後にはお見合い。
「俺も、朝から約束あったな」
「彼女?」
「みたいなもんかな」
文憲も謎めかして言う。
「楽しかったよ」
「あ、俺も」
「良かったよ」
「そう?」
彩乃の頭は恥ずかしさで一杯だった。
遊んでる女を演じるのは疲れる。
彩乃は一枚しか持っていない短いスカートに、一枚しか持ってない胸の大きくあいたカットソーを着る。
「連絡先交換無しね」
「うん、今日だけって事で」
彩乃は答えた。
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