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捨て犬は小汚いダンボールに入っていて犬種は柴犬の子供で名前はタローである。
つららはカバンの中から家で余った食パンの耳が入ったビニール袋と小パックの牛乳を取り出しタローに与える。
『ごはんですよ~。』
タローは尻尾を振り回し、つららの所へやって来た。ダンボールの中には犬用の皿が2枚置いてあってエサをあげるのに困らなかった。
皿に牛乳をそそいで飲ませ食パンの耳は手で与えた。
『指を舐めたらくすぐったいよぅ。』
つららはタローを抱きかかえて『ゴメンね…。タローを家で飼ってもいいって聞いたんだけど…うちのお母さん、大の犬嫌いで飼っちゃダメだって。』と言ってタローを地面に立たせ、そのあとつららは体育座りをしてグチをこぼし始めた。
『タロー聞いてくれる?また今日も嫌な事があったんだ~。黒板に落書きされて机を隠されて殺虫剤かけられたりして…。』
つららがグチをこぼしているうちに涙もこぼし体育座りの膝と膝の間に顔を隠し泣いた。
するとタローはつららの右膝に両手を置きちょこっとだけ見えているほっぺを舐めた。
つららは泣き止みタローを抱いて『タローはわたしを慰めてくれたのね。ありがとう。』と言い強く抱きしめた。
カーカーカーカー
数羽のカラスが夕暮れの空を飛んで行った。
『あ…カラスが鳴いてる。もう帰るわね』
つららはカラの牛乳パックをカバンの中に押し込み食パンの耳とタローをダンボールに入れて置いて走って帰った。
『ただいま。』
と、つららが言い台所の前を通るとお母さんが『お帰りなさい。最近帰って来るのが遅いわね。』と返事ついでに聞くので『うん。何でもない』と答えておいた。お母さんは『そういえばお隣さんが引っ越して来たわよ。』
と言ったが『ふ~ん』とうなずいて二階へ上がっていくのだった。
つららは二階へ上がり終えると自分の部屋に入って勉強机に座りため息をついた。
『友達欲しいなぁ。』とため息と同時に口からこぼれ出てどうして自分がイジメられるのか考えてた。
『イジメさえなければ友達…青春ができるのに。』
そうつぶやいているうちに眠ってしまった。
次の日の朝、つららは目を覚まして急いでシャワーを浴び、顔を洗い、制服に着替え朝ご飯をつまんで家を飛び出した。
学校に着くといつも通り下駄箱に靴をしまいカバンから上履きを取り出し履いた。
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