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後ろの入り口を少しだけ開けて入る。そしていつも通り黒板につららの悪口が書かれていて机がどこかに隠されていた。
キーンコーンカーンコーン
とチャイムが鳴ると同時に黒板の落書きが乱暴に消されるが机は先生が男子トイレから見つけ出さないかぎりつららの座る席がない。
ガラガラガラガラ…
チャイムに遅れ先生が入ってきた。先生の隣には顔の見たことがない男子がいて見たことがない制服を着ていた。
先生が『今日は転入生を紹介する。』と言って汚い黒板を黒板消しで少しキレイにしたあと白チョークで転入生の名前を書き始めた。
カツカツ‥
『東京から引っ越してきた旭太陽くんだ!みんな仲良くしろよ。』
太陽は元気の良い声で旭太陽ですと言って浅く頭を下げた。
周りの空気は良く特に女子は『少しカッコ良いよね』と評判だった。
先生はつららの席がない事を気にせず4列あるうちの右から3列目の一番後ろの席が開いているのでそこに座るように指示した。
本来つららの隣の席である。
朝の礼が終わりとうとう、つららの机は返ってこなかった。
太陽が席に座ると後ろの隅に顔を下げながら立っているつららを見てなぜ席に着かないんだろうと不思議に思ってつららのもとへ行き声をかけた。
『なんで机に座らないんだ。』
つららは初めて男子に話しかけられて赤面した。
『つ、机がないんです…』と恥ずかしながら小声で太陽に伝えた。
『机がない?』
太陽はなんでないのかを聞きたかったが『だって、その子のクラスうちじゃないもの。』と昨日つららに殺虫剤をかけた3人組みが割り込んできた。
『ねぇ。太陽くん私達とおしゃべりしましょ。そんなよそ者ほっといてさ。』と3人組み。
『悪いけど今この子と喋ってるから。』と太陽が断ると3人組みがつららの耳元までやってきて『今日の放課後覚えてらっしゃい。』と太陽に聞こえないように言って去って行った。太陽は『どうした?』と言ってつららの顔をうかがったら怖がってたのでこれは何かあると悟った。
男子生徒が太陽を読んだ。
『おーい旭。』
太陽は反応して呼んだ方へ顔を向けた。
『旭、一緒に便所いかね。』
太陽はせっかくなので一緒に行く事にした。
『じゃ、また。』
つららに別れを告げたあと太陽と男子は教室を出てすぐ近くのトイレに入って行った。
すると一番奥に机が乱暴に置いてあってマジックペンで描かれた落書きだらけだった。
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