第六章

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2学期になった。 ケンイチは、クラスメイトの笹山トオルに言われた。 「君を煙たく思ってる人は多い。」 と。 ケンイチがヒヤヒヤした事が3回あった。 サユリ妊娠疑惑である。 まずある昼休み。 サユリが食事終了後いきなりトイレに走った。 排泄を我慢していたとは女だから考えづらい。 となると…嘔吐。 特に具合が悪そうではない。 強いストレスを感じてるとも思えない。 まさか…。 2件目。 意味深な言動があった。 文化祭の時である。 お化け屋敷のゾンビの仮装をしたサユリが言った。 「私手術に失敗して痛いんだよ。」 まさか中絶手術!?。 3件目。 文化祭明けにサユリが欠席。 怪我をしたからと先生は言ったがやけに休みが長い。 まさか…。 ケンイチの人間とは思えない思考がある。 「もし手島が高校在学中にサユリを妊娠させたら手島の腹を刺す。」 ケンイチがここまで考えても全てシロだった。 なぜならあの発言はサユリが自分はどんなゾンビか言っただけ。 実際は最近手術なんて受けてないと言ったから。 2件目も本当に足を怪我しただけだったから。 少年は、ただ一人の女性を愛しただけというのに、いつしかその想いは思わぬ方向へ傾いてしまったようだ…
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