プロローグ

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子供の足でも… 20分とかからない裏道を行く足どりは重かった。 泣きながら一人歩いたあの状況は今も強烈な記憶として蘇る。 『この石垣を登れば家だ。』 でも何故だか 帰りたかったはずなのに… その場から足が動かずに立ち止まってしまった。 『一人で帰ってきて良かったのかなぁ。』 僕はしばらく迷った後、再び石垣を登り庭の中へゆっくりと入って行った。 すると縁側にいた親父が僕の姿に気付いた。 その顔はびっくりした様だったけど直ぐに微笑んで… 『お前一人で帰ってきたのか?』 そう言った父の顔は あの朝見た 鬼の様な形相など全く感じさせない とても【優しい顔】だった事を覚えている。
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