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―…瞬間、息の根が止まった。
頭は真っ白で、何を言うべきなのか、何をするべきなのか全く分からない。
ただ、混乱している。
そんな中。神楽の瞳に、艶を見た。
欲情している『雄』の色。
その瞳が徐々に近付いてきていることが分かっていたのに、俺は抗うことを忘れていた。
唇に感じる柔らかな感触と、自分より明らかに高い熱。
これが何を意味するのか、理解するまで数秒かかったと思う。
キス…されてるのか…ッ!!?
「んっ…!?」
逃げようと足を動かしたらテーブルにガタンッ!と激しい音をたてぶつかる。
その時痛さを感じた事さえ、忘れてしまいそうになる。
グッとにじり寄る神楽の身体。抵抗しようとする俺の手を掴み、身体を密着させてきた。
テーブルの下から何とか出した足で身体を離そうと試みる。だが、足を器用に避けて、両足の間に割り入る。余計に密着度が増してしまった。
「…っ…!!」
触れる唇から、握り締められた手から伝わる熱で、頭がピリッとして痺れる。
「本当は…」
唇を離して神楽が囁く。
「屋上の時、キスしたかったんですよ?」
なんて…エロい顔するんだよ…。
「…離れろよ。いつまでこんな…」
「まだ気持ちいいキスしてあげてません」
速答されたセリフに顔から火が出そうなくらい熱くなる。
何でこうアッサリとこんなセリフが吐けるんだ!!本当に十代なのか!?
俺はキッと神楽を睨み付ける。
「離せバカ!!告白したからって俺が絆されると思うなよ!!」
「しっかり絆されてたじゃないですか」
「突然のことに気が動転しただけだ!!こんなんじゃまともに会話も出来ないだろ!!」
「別にこのまま話せるでしょ?さっきの告白の返事なら聞くまでもないですが」
「はっ?」
神楽はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
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