猛獣スチューデント3

5/6
前へ
/177ページ
次へ
―…瞬間、息の根が止まった。 頭は真っ白で、何を言うべきなのか、何をするべきなのか全く分からない。 ただ、混乱している。 そんな中。神楽の瞳に、艶を見た。 欲情している『雄』の色。 その瞳が徐々に近付いてきていることが分かっていたのに、俺は抗うことを忘れていた。 唇に感じる柔らかな感触と、自分より明らかに高い熱。 これが何を意味するのか、理解するまで数秒かかったと思う。 キス…されてるのか…ッ!!? 「んっ…!?」 逃げようと足を動かしたらテーブルにガタンッ!と激しい音をたてぶつかる。 その時痛さを感じた事さえ、忘れてしまいそうになる。 グッとにじり寄る神楽の身体。抵抗しようとする俺の手を掴み、身体を密着させてきた。 テーブルの下から何とか出した足で身体を離そうと試みる。だが、足を器用に避けて、両足の間に割り入る。余計に密着度が増してしまった。 「…っ…!!」 触れる唇から、握り締められた手から伝わる熱で、頭がピリッとして痺れる。 「本当は…」 唇を離して神楽が囁く。 「屋上の時、キスしたかったんですよ?」 なんて…エロい顔するんだよ…。 「…離れろよ。いつまでこんな…」 「まだ気持ちいいキスしてあげてません」 速答されたセリフに顔から火が出そうなくらい熱くなる。 何でこうアッサリとこんなセリフが吐けるんだ!!本当に十代なのか!? 俺はキッと神楽を睨み付ける。 「離せバカ!!告白したからって俺が絆されると思うなよ!!」 「しっかり絆されてたじゃないですか」 「突然のことに気が動転しただけだ!!こんなんじゃまともに会話も出来ないだろ!!」 「別にこのまま話せるでしょ?さっきの告白の返事なら聞くまでもないですが」 「はっ?」 神楽はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

528人が本棚に入れています
本棚に追加