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「屋上の時に思いましたけど、少なくとも俺の顔は好きみたいですよね。それからずっと授業中意識しまくってて、可愛いったらありゃしなかったですよ」
「可愛いとか言うな!!」
「今だって、自分がどんな顔してるか自覚あります?男相手に告白ついでにキスまでされてるのに、嫌悪感を少しも見せてない」
「えっ…?あ…」
そういえば…そう、だよな。
普通なら気持ち悪いって感じが普通で…人によっては軽蔑するもんじゃないのか?
今まで同性を恋愛対象と見たことはなかった。だからと言って軽蔑するほどではないけど。
正直、この状況に戸惑ってるのも本当だし、信じられない気持ちでいっぱいなんだ。
身勝手な神楽に怒りを覚えてもいるのに……どうしてだろう、嫌悪感や不快感を微塵も感じていない。
それを指摘されるまで気付かなかった…。
「つまりそれって『脈アリ』ってことですよね。これから先、絶対に有り得ないことじゃない」
「そっ、そんなのお前の独断だろ!!思い込みってことだって…!!」
「思い込むのは悪い事じゃないでしょ」
「それにさっき、お前ホテル入ろうと…っ!!」
「今日の先生見てたらヤりたい衝動に駆られまして。だから仕方なくナンパしてきたあの女とね。ほら、俺お盛んな年頃ですから」
「調子に乗るな!!そんな言い訳が通ると…っ」
「先生、有言実行で存分に思い込ませてもらいます。告白もしちゃったし、これから覚悟してくださいよ」
ニッコリ笑う神楽に、サーッと血の気が引いていく。
神楽は硬直した俺から身体を離し、立ち上がる。
「それじゃ俺帰りますね。本当はこのまま泊まって行きたいけど、焦らなくてもいいみたいだし。それにこのまま一緒にいて、先生の足腰ダメにする自信ありますから」
「ちょっ…えっ?はっ?」
「ご心配なく。駅までは浮気しないで真っ直ぐ行きます。お邪魔しました、また明日」
軽快な足取りで神楽はサッサと部屋を後にする。
しばらく硬直したままだった俺は、明日からの学校を少し怖く感じていたりして。
「何を覚悟しろって言うんだよ…あいつ…ッ!!」
僅かに残る微妙な敗北感は、一体なんだろう…。
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