猛獣スチューデント1

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「おはようございます」 職員室に入ると馴染みの先生達に挨拶をしつつ、自分の席に行くと鞄を置く。 「おはようございます、谷崎先生」 「あ、おはようございます」 声に振り返ると、そこには眼鏡越しの柔らかな視線と笑顔。 山科 悠城(やましな ゆうき)。日本史を担当する、俺の先輩にあたる教師の一人だ。 分かりやすい授業と、洗練された外見。生徒からの人望も集める、俺の今最も憧れている人。 「今日も自転車で来たんですか?」 「えぇ。身体を朝から動かすと気持ちいいんで」 「はは、谷崎先生と新緑なんて、お似合いですね」 「え?」 山科先生は、俺の鞄を指差した。鞄には、いつから付いていたのか緑が鮮やかな葉っぱが一枚。 「あっ…」 「谷崎先生のイメージにピッタリって感じです」 そう言って楽しげに笑う山科先生。俺は恥ずかしくて、苦笑した。 俺が新緑の葉っぱなら…山科先生は白い百合だな。 想像して、あまりのハマりように感心した。 「では、職員会議を始めます」 そんな声にハッとして、俺は慌てて立ち上がり、他の先生達と同じように頭を下げて椅子に座る。 いけない、いけない…仕事に集中しないとな。 俺は頭を切り替えて、言われるままに連絡事項をメモしていった。
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