猛獣スチューデント2

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俺は新米だから、まだ担任を持っていない。授業を受け持つクラスだって一年生のみだ。 授業の時間じゃない時は、授業のための資料作り。プリントをどう作るか、授業をどう進めるかを常に試行錯誤。 授業中に俺が廊下を歩いていると、山科先生の姿が見えた。 「山科先生?今って三組の授業中じゃ…」 山科先生が俺に気付き、慌てた様子で駆け寄ってくる。 「谷崎先生、三組の『神楽(かぐら)』見てませんか?」 「神楽ですか?見てませんが…いないんですか?」 「そうなんですよ。多分どこかでサボってると思うんですが」 そう言って山科先生は溜め息をついた。 神楽 羚真(かぐら れいま)…この名前は一番始めに覚えたと言っても過言ではない。 彼は一年生にして、この学校一の問題児と言われているのだ。 授業をサボることなんて当然で、自分の学校内では勿論のこと他校の生徒とも殴り合いの喧嘩をしてしまうらしい。しかも無敗。 悪い噂は挙げたらキリがないが、それに輪をかけて彼は外見が目立つ。 長身と整った顔立ちは、制服を着てなければ十代とは分からない大人びたもの。 あの顔で睨まれたら、それはもう大迫力だと思う。美形の方が迫力あるんだよな…。 そんな彼の存在には誰もが舌を巻き、諦めているから放置しているのだが、山科先生は担任ということもあり放ってはおけないようだ。 「俺、神楽捜してきますよ」 「え、いいんですか?」 「俺は今日三限まで授業ないですし、手空いてますから。先生は授業に戻ってもらって結構ですよ」 「でも…」 「大丈夫ですよ!!見つけたら連行しますから」 山科先生は少し悩んで、苦笑を向けた。 「分かりました、お願いします」 「はいっ、任せてくださいっ」 「…気をつけてくださいね?」 本当に心配そうに山科先生は言い残して、教室に戻っていく。 あんなに山科先生が言うくらいだし…噂って本当なのか?って、教師の俺が生徒相手にビビってどうする!! そう自分を叱咤し、俺は神楽を捜すために歩き出した。
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