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新城の部屋にて──
「日本での生活は楽しいですか?」新城はコーヒーを入れながら言った。
「はい…」
「僕はスタッフに囲まれる生活に疲れました」新城は言った。
「どうして?」
「本音で話せる人がいないから。家には寝に帰るようなものだし…」新城はコーヒーカップを渡した。
「ありがとうございます」玲子はお礼を述べた。
「何のために生きてるんだろうって思います」新城は言った。
玲子は黙って聞いていた。
「子供の頃からずっとね。……小さい頃、父も母も通訳の仕事してたから転々としてて友達もいないし」
玲子はコーヒーを飲んだ。
「あなたはいいですね。薫さんというパートナーがいるから」新城は言った。
「楽しいですよ。薫は」玲子は言った。
「友達は宝ですね」と新城。
玲子は微笑んだ。それから時計を見た。
「あ…もうこんな時間…。そろそろ戻ります」玲子は言った。
「行きたい所あったら言って下さい。案内しますから」新城は言った。
「ありがとうございます」
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