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「ママ~靴下片方ないよ~?」涼哉が言う。
「もう~今になって…」玲子はエプロンで手を拭きながら涼哉の部屋へ行った。
稲葉は「涼哉、あ~んして」と言った。
涼哉が口を開ける。
稲葉は卵焼きを食べさせた。
「ママの卵焼きうまいだろ?」稲葉は言った。
「うん!」涼哉が頷いた。
「今日はパパが送ってやるからな?」
「お仕事は?」と涼哉。
「今日は遅くても大丈夫なんだ。コンビニでお前の好きなメロンジュース買って行こう」稲葉は涼哉の頭を撫でた。
「やった~!」涼哉は喜んだ。
「ママには内緒だぞ?虫歯出来るってうるさいんだから」稲葉はヒソヒソ声で言った。
「聞こえてますけど?」玲子が大きい声で言った。
「ははっ…はははは…」
稲葉は笑ってごまかした。
「はい、涼哉、これ履いて行きなさい」玲子は靴下を涼哉に渡す。
涼哉はその場で靴下を履いた。
「玲子、レコーディングだろ?俺が今日は涼哉送るから」稲葉は言った。
「ん、お願いね。あ、帰りは青山にお願いしてあるから」玲子は言った。
青山とは玲子のマネージャーの青山千秋のこと。
「パパ、卵焼きもう一個ちょうだい」涼哉は稲葉の隣りに座った。
「涼哉、ご飯も食べて」玲子はお茶碗を渡した。
「ご飯マズイんだもん…やだな…」
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