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ドンッ!
後ろから誰かがぶつかってきて振り返ると、そこには、私の腰の高さよりも身長の低い女の子が立っていた
「どうしたの?」
いつぞやか、幼稚園に職場体験に行った時、子供とは目線の高さで話しかける。なんて言われたっけなぁ
と思い出して、私は腰を屈めると、女の子の顔を覗き見た
目にいっぱい涙を溜めた彼女を見て、なんとなく状況をさっした私は、一筋の溢れ落ちた涙をハンカチで拭ってやった
「大丈夫?」
大丈夫そうに見えないが、下唇をかんで、ゆっくりと首を振る彼女を見て、誰かを思い出さした
一筋、また一筋と溢れだす彼女の涙に拭う手が追いつかなくなって私は焦った
「あ!見てて!」
私はハンカチを手の平の中に入れると、目を丸くする女の子の涙を指で拭ってやる。
「いくよ。
1
2
3
」
ハンカチを握った手の近くで指を鳴らして手を開くと、ハンカチが飴に変わっていた
よかった!
上手くいった!
吉居に出来て何になる?とからからわれた手品だが、目の前にいる、女の子の顔を見て、必死に練習したかいがあったと思った
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