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やばい。
逃げたい。
「満!」
ビクッ!
名前を呼ばれて、素直すぎるほど反応してしまった自分を内心足で踏みつけながら、声の方に振り返る。
「あ。清水君。今帰り?」
「帰り?ってゆうか…満のこと待ってたんだけど」
ギラリと彼の目が光った
私にしか分からない目の輝きはまるで……
「え。嬉しい。ありがと」
↑をハート付きで言えと言っているようで……
素直に言ってしまった。
しかも女優張りの演技で。
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ハァハァ
ハァ
会話の無い帰り道は私の吐く息の音が目立っていた
学校を出てから、彼は私と目も合わせず、話そうとしなかった
男が女に合わせてゆっくりと歩くなんてのは、ベタな恋愛漫画か、小説の中だけなのか、それとも、夢の中だけなのか……
身長差15センチメートル足の長さもそれなりにあるが、学校を出てからまったく私の方を振り返らず、自分のペースで歩く彼に追いつこうと、常に競歩の状態
愛情の深さが筋肉にまで伝わってくる。
本当に…
こんなんなら、まだ兄と歩いていたほうが楽だ。
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