夏祭りシリーズ1

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「菊池ぃ」 祭囃子が心を踊らせはじめたころに白井がやってきた。 「おせーよ」 「ごめんて、ん……」 謝罪のあとに言葉を止めてこちらをまじまじと見つめる。 「なんだよ…」 「菊池かわいい」 無理矢理渡された甚平をしぶしぶきている俺をみてそういう。 白井も同じ格好だ。 急いで走ってきたせいか甚平が少しはだけていて、その間からちらりと見える白い肌に心臓が鳴り、今の言葉がプラスされ、また心が踊る。 「さー、いこーいこー」 「…お前の方がかわいいわ」 「え、なんて?」 「なーんでも」 祭囃子に誘われて俺たちは雑踏の中に溶けていった。 「きくち!わたあめだ!」 「てめー食いすぎだ!」 終
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