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駅のトイレで顔を洗ってホームから飛び出して叫んだ
「親父のバカヤロー!」
そう、目的地に着いたのだ
そして二言目に出た言葉は
「ここ、長野県全市町村総連合の総力を結集しても負けるよ…」
悠斗の目の前に広がる光景
サラリーマンや学生、はたまたお洒落な若者達の圧倒的数
そしてそれに比例するようにそそり立つ高層ビルに最新のリニア
決して地元では受けることはないインスピレーション
すべてが新鮮で楽しかったが下宿先はまだまだ遠い
タクシーは高いし
バスも知らない土地には使い勝手が悪い
「どうしようかな…」
そういえば下宿の番号渡されたんだ
迎えにきてもらえばいいじゃんよ!
さっそくピッポッパ、と
プルルルル…ガチャ
「あ、もしもし今日からそちらのお宅で」
『HAッーHAッHAAー!!』
ガチャ
ツーツー…
つい怖くなって切ってしまった…。
番号間違えたか、そんなはずない
番号を確かめながらかけ直す
プルルルル…ガチャ
「あ、あの…」
「もしもし、ごめんなさいね
あなたが悠斗くん?」
綺麗な声だった
どうやら番号は合ってたようだ
「あ、ひゃひゃいっ!」
声裏返った…
殺せ、ひと思いに俺を殺してくれ
「夕方に着く予定だったけど…どうかしたの」
「すみません
住所がよく分からなくて…あの、迎えにきてもらえたら」
「えぇ、もちろん
そんなことならまかして」
や、優しい…女神や
「ありがとうございます!」
「うんうん、まっかせなさい
じゃぁ迎えにいくからその辺のお店で時間潰して待っててね」
「は、ははひゃいっ!」
また、声裏返った…。
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