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―昼休み
今日も、小さめのお弁当を片付け、ビニールバッグを手にする。
別に友達がいないわけじゃ無い。
昼休みはいつもどこかへ行っているため、誰も私のことを気にしなくなっていた。
水着は既に着ている。
教室から出ると足は自然にプールへと向かった。
――先輩と会ったのはだいたい一月程前。
第一印象、大きな人。
その後、「大きな」の部分は「不思議な」に変わったが、会うことは楽しみとなっていた。
足取りは勝手に軽くなった。
プールの前にはまだ誰もいない。
先輩より先にプールで待つことが私の日課である。
浮輪を膨らませ終えると、先輩が向こうから歩いて来るのが見えた。
目の前まで来た彼に、私は定型文で返した。
「遅いですよ?先輩」
…
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