11873人が本棚に入れています
本棚に追加
再び秋が来て
冬がだんだんと深まり始めた。
今は丈太郎さんが働いていたお店を紹介して貰い、そこで働いている。
やはり、専門にやっている店は何から何まで違う。最初は戸惑う事も多かったが、シロクマでやっていた事は無駄ではなかった。
丈太郎さんのお陰で基礎が身についていて、苦労する所をしないで済んだ。
本当に感謝したい。
日々勉強と熱心に仕事に取り組んでいたある日の事だった。
お昼休みに店長の尾島 剛【オジマ タケシ】が、休憩所に現れ険しい顔で俺を見た。
「八住!丈太郎から電話だぞ」
「え…丈…太郎さん?」
「早く出てやれ。慌ててるぞ」
慌ててる?
何で丈太郎さんから電話がかかってくるんだ?
詩子からの電話なら夜だ。
店じゃなく俺の携帯電話に絶対にしてくる。
丈太郎さんも連絡なら携帯電話にしてくるはずなのに店にかけてくるなんて、おかしい。
何かあったのかもしれない。
妙な胸騒ぎがして、直ぐに電話をとった。
『八住か!?さっき尾島さんにも言ったんだが、一回こっちに戻って来てくれないか?』
「えぇ?どういうことですか……納得行くまで戻らないと、決意して出て来たんですけど…」
何かあったのかと思っていたものの、いきなり戻って来いとの言葉に思わず、反論してしまった。
『詩子が苦しんでてもか?』
.
最初のコメントを投稿しよう!