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満面の笑みで『着いたぞ』と言われ、自分の身が無事だったことを知った。
身体中からじっとりするような嫌な汗が流れてる。
緊張で強張った身体も安心したせいか、力が一気に抜けた。
もう、おじさんの車には一生涯乗らないと心に固く決めたのは言うまでもない。
詩子にもきつく言っておこう。
怖い思いをしたが…ここまで連れて来てくれたおじさんに一応礼を言い、病院に入った。
夕方の院内は、外来の診察も終わり面会に来た人だけで、昼間の騒がしさはなく落ち着いていた。
「着いたのはいいが…病院の何処に行けばいいんだ?」
来いとしか言われてないから着いたら、何処へ行ったらいいのかが全く分からない。
詩子はどこが悪くて病院に来ているのかさえ分からないのに…
丈太郎さんにもう一度連絡を取ってみようと思い、携帯電話を取り出しながら外に出ようとした時だった。
「八住君!」
玄関に差し掛かった所で声をかけられ振り返ると、エレベーターからちょうど出て来た夢子を見つけた。
これで
詩子の元に行ける。
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