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「……ん?」
恐らく真っ青になっている俺に対して、にやけ顔の皆。
皆、笑ってるけど……?
「やぁっと、来たかぁ!二人にとって同時にサプライズだな」
マスターが俺の背中を叩き
力強く肩を組んだ。
「あの…サプライズって…それより詩子――」
「あっ!」
目の前の扉の奥から
元気の良い泣き声が上がった。
そう、元気の良い赤ん坊の
産声だ。
「産まれたな」
丈太郎さんが俺の隣に来て
微笑んでいる。
肩を組んだままのマスターは何故か涙ぐんでいた。
他の愛田家の皆もそれぞれ喜んでいて、俺だけ置いてけぼりになっている。
「え…産まれたって…え?………えぇーっ!!??」
「鈍いな、八住。ここに来たなら気付いてると思ってたぞ」
気付いてないから驚いているんじゃないか!?
良く見れば扉の上に『分娩室』の文字がある。
じゃあ、中に居るのが詩子ってことで、さっきの産声が俺と詩子の……?
本当に?本当なのか!?
だって、俺は詩子が妊娠していた事さえ知らないぞ!?
パニック状態の俺は三度目の
嫌な汗を流していた。
……いや、嬉し汗か?
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