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翌朝、なかなか寝付けなかった俺は予定より一時間ばかり、遅れて起きてしまった。
急いで仕度をし、病院に行く前に必要な物を貰いに行った。
面会時間開始と同時に詩子のいる病室に入ると、詩子の姿がない。
子供の所に行っていると、隣のベッドの人に教わった。
詩子のいない病室に居ても何だか気まずいので、子供の所へと俺も向かった。
「八住君!早いね、子供の顔見たくて来ちゃった?」
キョロキョロと昨日は落ち着いて見れなかった場所を眺めながら歩いていると、目の前に笑顔の詩子がいた。
やっぱり、笑顔の詩子が一番好きだな…なんてしみじみと思ったりした。
「両方の顔が見たかったに決まってるだろ。昨日はよく眠れなかったよ」
「ふふふ…今ね、母乳をあげて来たんだよ。可愛かったぁ」
詩子の肩を抱き、ゆっくりと話すため中庭へと降りた。
太陽の日差しがポカポカとあたたかく心地良い。
「詩子、今日はこれを持って来たんだ」
ジャケットの内ポケットから取り出した物を詩子に手渡した。
不思議そうにしてた詩子がそれを見た途端、涙ぐんだ。
「これって…婚姻届…私、八住君の奥さんになってもいいの?私で本当にいいの?」
「何言ってんだ、詩子?子供までいるのに、結婚しないなんて変だろ?順番がめちゃくちゃだけどさ……俺と結婚してくれ」
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