それから……

15/15
11873人が本棚に入れています
本棚に追加
/176ページ
何度も頷きながら泣く詩子を 抱き寄せ背中を撫でた。 詩子が落ち着くまでずっと 抱きしめていた。 愛しい、愛しい、詩子。 「赤ちゃん見に行こう」 すっかり泣きやんだ詩子がそう言い、立ち上がった。 ガラス張りの向こうで、生まれたばかりの命がたくさん輝いている。 あんなに小さいのに なんて力強いのだろう。 大切に大切に育てたい。 「詩子、子供の名前なんだけど…永遠って書いて『とわ』ってどうだ?」 「とわ…永遠君…可愛いね」 いろんな誓いを込めた名前だ。俺達家族は永遠に幸せであるために。 決して、俺が味わった辛く酷い過去をキミに与えないよう永遠に誓う。 愛しい妻、詩子。 愛しい我が子、永遠。 俺がずっと、ずっと 守っていくよ。 ありがとう。 お義母さん 俺に家族が出来ました。 お義母さんが与えてくれた幸せを、今度は俺が家族に与えてあげる番です。 俺が愛した人を見て 欲しかった。 生まれたばかりの我が子を、お義母さんに抱いて欲しかった。 それが叶わないのが 残念でなりません。 天国で喜んでくれてますか? 俺はもう大丈夫です。 幸せになります。 ―完―
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!