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「マスター、食事の用意ができました。」
ティエリアが研究室の入口で呼んでいる。俺は作業の手を止め、ティエリアの傍に歩み寄った。
「こら。マスターじゃなくてニールって呼べって言ってるだろ。」
ティエリアは俺が作り上げたロボットだった。白い肌、綺麗な髪の毛、整った顔立ち。全て「あいつ」に似せて作ったロボット。俺の前からいなくなってしまった、あいつの―――
「――る、ニール?」
呼ばれてはっとする。俺より幾分か背の低いティエリアが無表情で覗き込んでいた。
「ああ、飯だったな。」
悪い悪いと苦笑しながらティエリアの頭を撫でるけど特に反応はない。
家事全般は、プログラムのお陰で難なくこなせる。ティエリアは教えれば何でも覚えたし、何でもできた。
ただひとつ、「ココロを知る」ということ以外は。
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