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「ココロ」が溢れていくなか、僕は彼が教えてくれた歌を思い出した。
きれいな、きれいな歌。
タイトルは忘れてしまったと、彼は寂しげな笑顔で僕に告げた。
でも、讃美歌なのだと、教えてくれた。神を讃える歌。
全ての「ココロ」を込めて、僕は歌った。全てのココロと想い、感謝を込めて。
彼に贈る、最初で最後の贈り物。
全てを乗せた歌を、過去の僕へ託す。
ああ、ニール。例え僕は、「ティエリア」の偽物だとしても。貴方を愛したこの「ココロ」は、本物でした。
――ありがとう…ありがとう…
この世界に僕を生んでくれて…
ありがとう…一緒に過ごせた日々…今なら言える、楽しかったと。
…ありがとう…愛してくれて…ありがとう。
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