角砂糖のはなし

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     けれど、最近彼女は来なくなってしまった。    角砂糖はその間に自分が誰か他の人に食べられてしまうのではないかと恐れた。        そしてとうとう、瓶の中には自分だけになってしまった。  その日は特別砂糖が食べられた日だった。運良く食べられずに閉店時間になって、店内は暗くなった。      窓からは月明りや町のネオンが見える。      角砂糖は少し寂しくなった。       「やぁ、こんばんは」        角砂糖が椅子の方を見ると、誰かが腰掛けていた。    ふわふわとした綿毛が、星をちりばめたようにきらきらとしている。    誰だかわからないけれど、どうやら人ではなさそうだ。     「こんばんは」      角砂糖は返事をしてみた。けれど、届いているかは分からない。     「今夜は月がきれい」      誰かはうっとり、けれど少し寂しそうに外を見ている。      角砂糖が話しかけようとした瞬間、     「ぼくは羊。星の羊さ」       誰かは、そう名乗った。    
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