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「こんな事態になってしまったんだ、今日は早退しろ。荷物は後で届けてやるから」担任がそう言う。
親父がどうとかは正直に興味なかったが、母親が心配になった。あれだけ幸せそうな顔をして毎日を過ごしてたのに、この一報があるだけで、どんなに日常が変化するか想像もつかなかった。とにかく担任の言葉に甘えて、家へ帰ろう。
「気を落とすんじゃないぞ。むしろ、死んでない可能性が高いくらいだ。」
担任が言いたい事は理解出来た。事故が発生してすぐに救出活動を出来る程度の規模で
『親父だけが生き埋めになった』
なんて言い方はしないし、恐らく死者も出ていない。
だから、人が死亡する理由が見当たらないんだろう。
そうすると、事故が発生してから自力で脱出し、何か連絡方法を探し求めている内に事態が大袈裟に伝わったと考える方が自然に思えてくる。
ましてや中国の山村だ。電気や電話もなく、人を探してる内に森に入り込み、目的地が分からなくなったとか、そんなつまらない理由だとすら思えてくる。
しかし、だからと言って誰もが…特に相手を思いやってる人が冷静にそう考える訳ではない。
とにかく、母親に連絡してみる事にする。
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