8人が本棚に入れています
本棚に追加
「…がみ…や…りょ…ぉきろ…」
どこかで聞いた声…でも思い出せない。
「…がみ涼、起きろ」
面倒だ…寝返りをうち、背を向ける。
「八神 涼、起きろ!」
肩を殴られた、すんごく痛い。
「起きろと言うのがわからんのか!」
また殴られる。しかも同じ所を。こりゃアザになる痛さだな…って、そんなキャラでもないか。
まだ意識も朧気に体を起こす。そこには意外な人の姿が見えた。
「…え?山下先生?」
「布団に潜ってる場合じゃない!さっさと支度しろ!」
「支度って学校は休むと連絡が行ってるはずだけど?って言うかどうやって家に入ったの?」
「学校じゃないし家宅侵入も関係ない!さっさと着替えろ!」
今度は正拳、いわゆるゲンコツだ。まあ、当てられたのは頭じゃなくてデコだったんだが。
「ってぇ…とりあえず着替えればいいんですね?」
「これからは私に敬語は使うな!それから千佳と呼べ!」
意味が分からない。いや、敬語は好きじゃないから止めるのはいいんだけど、名前を呼び捨てってのはなんなんだ?
「えっと…じゃあ千佳さん?そこに居られると着替えづらいんだけど…」
「敬称もいらん!私がいることなんか気にならないだろう!」
そう言われても女性、それも先生を呼び捨てにするなんで無理だろ。
そう思ったがそこには触れず会話を続ける。
「気にはならないけど、女性の前で着替えるのはデリカシーがないだろ?そんな事したら女性が気になると思うんだけど?」
「お前は…まだ緊急事態という事が呑み込めないか!」
また正拳が飛んでくる。まあ、避けるけど。
最初のコメントを投稿しよう!