旅立ち

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「…がみ…や…りょ…ぉきろ…」 どこかで聞いた声…でも思い出せない。 「…がみ涼、起きろ」 面倒だ…寝返りをうち、背を向ける。 「八神 涼、起きろ!」 肩を殴られた、すんごく痛い。 「起きろと言うのがわからんのか!」 また殴られる。しかも同じ所を。こりゃアザになる痛さだな…って、そんなキャラでもないか。 まだ意識も朧気に体を起こす。そこには意外な人の姿が見えた。 「…え?山下先生?」 「布団に潜ってる場合じゃない!さっさと支度しろ!」 「支度って学校は休むと連絡が行ってるはずだけど?って言うかどうやって家に入ったの?」 「学校じゃないし家宅侵入も関係ない!さっさと着替えろ!」 今度は正拳、いわゆるゲンコツだ。まあ、当てられたのは頭じゃなくてデコだったんだが。 「ってぇ…とりあえず着替えればいいんですね?」 「これからは私に敬語は使うな!それから千佳と呼べ!」 意味が分からない。いや、敬語は好きじゃないから止めるのはいいんだけど、名前を呼び捨てってのはなんなんだ? 「えっと…じゃあ千佳さん?そこに居られると着替えづらいんだけど…」 「敬称もいらん!私がいることなんか気にならないだろう!」 そう言われても女性、それも先生を呼び捨てにするなんで無理だろ。 そう思ったがそこには触れず会話を続ける。 「気にはならないけど、女性の前で着替えるのはデリカシーがないだろ?そんな事したら女性が気になると思うんだけど?」 「お前は…まだ緊急事態という事が呑み込めないか!」 また正拳が飛んでくる。まあ、避けるけど。
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