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そんな会話を続けていると、玄関のチャイムが鳴った。
「ピンポーン。涼君、起きてる~?」この声は…
「母さん、出てあげて」
「何を言ってるの、あなたの幼馴染みでしょ?」
間髪入れずに返される。ハァ…と、軽いため息をつきながら玄関へ向かう。ドアを開けると、そこにはよく知った顔があった。
「えへへ~、伊東美咲中尉、お迎えに参上した次第でございまする」
なんだこの日本語は。
「お前、中尉がどれくらいの身分か分からずに言ってるだろ」そう言い返すと、また笑顔になり「うん」と返ってくる。朝から無駄にテンションが上がる奴だ。
「ちょっと待ってろ。すぐに支度してくる」
そう言って、玄関先で待たせる。朝食も早々に済ませ、自分の部屋から荷物を取ってくる。「行ってきま~す」そう言うと美咲も繰り返す。
「それにしても珍しいな。お前が俺より早く準備するなんて」これを皮切りに会話が始まる。
伊東美咲…単純に俺の幼馴染みだ。家もすぐ近く…歩いて1分もかからない所に住んでいる。
実の所、俺の親と美咲の親はそれぞれが元カレ元カノの関係で、昔ダブルデートをした時に恋愛対象がすりかわったらしい。しかも、4人ともそう感じたんだから、もう皆で笑うしかなかったとか。変な奇遇もあるもんだ。
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