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「謙太?んなとこで突っ立って何やってんだよ?」
不意に声のする方を見ると、誰かの鼻のドアップがある。
「………近い。」
俺はそいつの肩を軽く押して、俺から離す。
「酷っ…何だよ、朝から不機嫌じゃん。」
「煩い、澪。朝からあんな電話掛けやがって…」
俺は電話の内容を思い出して、ふっと思った。
舞が俺に告るとしたら、舞は俺のことが好きという事になる。
ただ、今朝のやり取りからして舞は俺を嫌っているだろう…。
だったら何故、澪のところにそんな情報が…?
俺はますます、舞という存在が分からなくなって、
「くっそー…訳わかんねぇ!!」
と、叫んでしまった。
「謙太…お前朝なんかあっただろ?言えよ、聞いてやるから。」
………俺は言えなかった。
舞の事を考えるだけで、自分を見失いそうになること。
舞を今日、初めて見たのに、もう舞のことしか頭にないこと。
何度も言われたはずの台詞を舞から言われたときの、喪失感が忘れられないこと。
絶対…舞を欲しいと思ったこと。
*゜
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