11479人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
駅についた俺たちは傘をたたみ、手は離さずに改札を通る。
「痛っー…」
どこかにぶつけてしまったのか、舞が声を出した。
「あ…わりぃ…。」
俺はぶっきらぼうに手を離すと、舞に謝った。
「いや…違うんです…。」
舞は申し訳なさそうに下を向き、顔を真っ赤にしながら言った。
朝っぱらから俺の理性を飛ばそうとする舞………困る。…非常に困る。
はたから見たらブスデブメガネかもしれないが…
俺から見たら…
ヤバいくらい…可愛いんだ。
「ひゃっ…」
俺は舞を強引に抱き締めた。
「えっ!!あのブスデブメガネが謙太君と抱き合ってるよ!」
「はぁー!?まじ有り得ないし!」
「謙太君からしてみれば、いい迷惑だよね。」
周りの音なんか俺に聞こえなかった。
今、聞こえるのは…
舞のか、俺のか分からないくらい大きな…
心臓の音、だけだった。
*゜
最初のコメントを投稿しよう!