魔物を倒せ

8/14
前へ
/39ページ
次へ
「うわあああ!」 「ミツル、ミツル!」  カイルが近づいてくる。 ――さよならを言われる!  ついさっきまで言ってから行けと思っていたのに……いざ言われるとなると、怖い!  カイルの首に剣を向け、ガチガチと歯を鳴らす。緊張しているのか? あたしは。 「ミツル?」  悲しそうな顔なんてしないで! 「それ以上近づくな」  触れたくなるから。行かないでと泣き出してしまうから。 ――言うなら、あたしがあたしを保てているうちに言って。 「何かあったのですか?」 「何かあるのはそっちだろう!」  剣を持つ手が震える。慌てて両手で支えた。傷はつけたくない。 ――こんなにも好きだなんて。  知りたくなかった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

307人が本棚に入れています
本棚に追加