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「うわあああ!」
「ミツル、ミツル!」
カイルが近づいてくる。
――さよならを言われる!
ついさっきまで言ってから行けと思っていたのに……いざ言われるとなると、怖い!
カイルの首に剣を向け、ガチガチと歯を鳴らす。緊張しているのか? あたしは。
「ミツル?」
悲しそうな顔なんてしないで!
「それ以上近づくな」
触れたくなるから。行かないでと泣き出してしまうから。
――言うなら、あたしがあたしを保てているうちに言って。
「何かあったのですか?」
「何かあるのはそっちだろう!」
剣を持つ手が震える。慌てて両手で支えた。傷はつけたくない。
――こんなにも好きだなんて。
知りたくなかった。
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