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「でも何で、卵とパンしか売ってないのかな?」
朝ご飯を食べながら、疑問を口にする。都を出て半月が経った。この村にきて3日目、今日が次の場所へ出発の日だ。
「さあな」
ジェイは目玉焼きを一口で平らげ、パンにかぶりつく。
カイルを都から連れ出して数日後、影の魔物が都から全国へと広がった。ジェイの封印の後、影の魔物がまた呼び出されたようだった。都はさびれ、人々は逃げ出したらしい。
カイルは影の魔物の話が出ると、つらそうな顔をする。自分が作り出してしまったモノが、みんなを苦しめているのがつらいのだろう。この旅も、魔物退治の旅になっている。あたしは、カイルの家族を探すつもりだったんだけどな。
「さ、出るぞ」
みんなが食べたのを見計らって、ジェイが食器を片付けた。相変わらずテキパキとした手際。あたしは手をはたきパンくずを落とす。ぐいっと水を飲み、口を拭った。
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