旅の再開

5/7
前へ
/39ページ
次へ
 用意を済ませると、宿屋を出る。 「カイル」 「はい?」 「もう……体は平気か?」  魔方陣だとか、王国魔術師だとかはよくわからないけど、そのせいで死にかけたカイル。グーダがいなければ、隣を歩いてくれることも、一緒に寝ることもできなかった。一人で寝ると不安になる――カイルが死んじゃったんじゃないかって。そばにいるのに、どうしても寂しい。そんなこと、言えないけれど。 「もう大丈夫ですよ。ミツルは心配性ですね」  カイルは困ったように笑う。 「あはは、そうかもね」 「ミツルこそ、お尻はもう大丈夫ですか?」 「うげっ」  ゲイラルーダに乗ってすり切れたお尻の皮。座るのさえつらかったけど、グーダに調合してもらった塗り薬で完治した。ただ、お尻に薬を塗るのに自分ではうまくできず……カイルに塗ってもらうはめになったのだ。 ――思い出すだけで恥ずかしい。  カイルに見られることが、とても恥ずかしい。前まではそんなことなかったのに。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

307人が本棚に入れています
本棚に追加