307人が本棚に入れています
本棚に追加
「ミツル」
「何だよ」
「なんでもありません」
ふふ、とカイルは微笑む。本当に、不思議な奴。
「なんだよ、言えよー。気になるじゃないか」
「なんでもないですよ」
カイルの腕をつかみ、ぐらぐら揺らす。カイルは変わらずに笑っている。
「もー」
「ははは」
「バカップル……」
ジェイが長い溜息をついた。
「なあ、カイル」
「何でしょう」
あたしはぶらさげた剣の柄を触る。たくさんの魔物を切った剣。もう一つの相棒。
「あたし、強くなったか?」
「もちろんです」
即答が嬉しい。
「レベル、上がったかなあ?」
「調べてみますか?」
「調べられるの!?」
ええ、とカイルはうなずく。
「ジェイ」
「はいはい」
ジェイはリュックをガサゴソと探し、手のひらサイズの丸い物体を取り出す。まんまるでビー玉みたい。にごった青色をしている。あたしはそれを受け取った。
最初のコメントを投稿しよう!