307人が本棚に入れています
本棚に追加
村を出発するとすぐ、どんより重い霧をまとった草原が見える。
「あれは」
はっと息を飲むカイル。
「ジェイ、上から見てきてください」
「あいよ」
使い魔であるジェイに命令をすると、目を細めて草原を見た。
「カイル、どうした?」
「村で卵しか買えなかった理由がわかりました」
「理由があったのか!」
あたしはおおっと声をあげる。
「ジェイの話を聞いてからですが」
カイルの手が、あたしの頭を撫でた。
「やっぱりカイルはすごいな!」
「まだ何もしていませんよ」
黒竜がくるくると、草原の上を回る。あたしたちも草原へと向かう。
「ああ、やっぱり魔物がいるみたいですね」
ジェイからのテレパシーを感じたのか、カイルは意味深に頷く。
「戦闘か!」
――久しぶりの戦闘だ。
胸がドキドキ波打った。
最初のコメントを投稿しよう!