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「分かったよ。じゃあ二時に駅前でな」
『う、うん! じゃあ、後で!!』
美優は何だか嬉しそうな声色になっていた。そしてそのまま、電話は切れた。
俺はふう、と一息ついて携帯を閉じた――瞬間、
「どーこ行ーくのー??」
「ひゃぁいっ!?」
ちなみに今の「ひゃぁいっ!?」は俺です。
いつから起きてたんだか、突然俺の耳元でそんなことを訊いてきやがったのだ。
誰がって? 決まってるだろ。愛栖が、だ。
「い、いつから起きてたんだお前は」
「いつだっていいじゃない。そんなことより、何処行くの!? 和樹!!」
愛栖はそう言うと、俺の左肩を両手で掴み、左頬のすぐそばまで顔を寄せてきた。
何か、“台風の夜”以来、愛栖との距離が大分縮まった気がする。
ていうか、俺的にはそれ程縮まったとも思っていないんだが、今みたいな感じで、愛栖が必要以上に俺に引っ付いてくると言うか、そんなことが多くなったのだ。
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