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「とりあえず、少し離れてはくれないか」
「教えてくれるまで離れない!」
愛栖のシャンプーのにおいがする長い髪が、俺の首筋に垂れる。
くすぐったいと同時に、一刻も早くこの状況をどうにかしたい、と思った。
何か、すっげぇリアルです。
「美優とハルが浴衣を買いに行くらしいから、それについて行くんだよ」
「ゆ……た……か?」
浴衣、な。そんな某ドラッグストアーみたいな名前じゃなくて。
まぁ小さい頃は、俺もよく間違ったものだが。
ていうか、今の反応は絶対知らない感じだな。
「浴衣ってのはな、祭のときに来て行く和服さ」
「え!? 祭! 祭があるの!?」
祭のことは知っているらしい。
「おう、明日な」
「で、浴衣って、あの祭のときにみんなが着てる、カラフルで綺麗な模様とか絵が描いてあるやつのこと!?」
そうだ、と俺は答えておく。
多分もう分かってくれていると思うからな。
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