浴衣三姉妹(?)大暴走!?

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 そんなこんなで、結局二時になるまで愛栖は洗面台の前を動かなかった。  完璧遅刻です、ハイ。  愛栖が出来た、と言いながら、しかし俺とは顔を合わせずに脱衣所を出てきたのを確認すると、俺はすぐさま靴を履きにかかった。  と、そのときだった。  玄関の鍵が外側から開けられ、ドアが開く。  そして、汗びっしょりの我が妹、瑞樹(みずき)が家の中に入ってきた。  部活から帰ってきたらしい。またこんなタイミングで! 「あ! お兄ちゃんただいまぁ!!」  こちらもつられてしまいそうな笑顔を俺に向けた瑞樹は、次の瞬間「ふにゃ?」と首をかしげる。 「何処か行くの? 靴履いて、着替えて……」  そう言いながら、瑞樹は俺の背後から迫ってきた愛栖に目をやった。  愛栖も俺の横に並んですわり、サンダルを履く。  その様子を見ていた瑞樹は、 「ひゃあああああああああああっ!?」  と、近所迷惑な程甲高くて大きな声を上げた。俺は思わず、両手で耳を押さえる。 「お、お兄ちゃんと愛栖お姉ちゃん、もしかして、ひょっとして……デートする気でしょぉおおお!!」 「はぁ!?」と驚く俺。 「デ……」と固まる愛栖。  そして止まる時間……ザ・ワールド! ……てのは一先ず置いておいて、瑞樹はまたあらぬ誤解をしているようです。  
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