浴衣三姉妹(?)大暴走!?

18/115
前へ
/519ページ
次へ
 ◆ ◆ ◆  さて、愛栖を引っ張って走るというのは、炎天下ということもあり思っていた以上に苦痛で、結局二十分ぐらい遅れて駅前に到着した。  ……あー、居る居る。  眉をとんでもない角度にまで吊り上げ周囲を睨みつけている美優と、その隣で竹みたいに真っ直ぐ立っている部活の後輩、橘ハル(たちばなはる)の姿があった。  美優はこの暑いのに真っ黒なニーソックスを召していて、その数センチ上までの長さの短いデニムパンツが俗に言う絶対領域というやつを作り出している。  ピンク色の半そで服は涼しそうなイメージを俺に与えてくれるんだが、そのオーラは俺への怒りで熱く燃え滾(たぎ)っているらしかった。  ハルは……、うん、モノトーンだな。そこだけ白黒の映像を見ているようだ。  無難な服に、無難なスカートを合わせてきた、という感じの、特にお出かけの為にオシャレしたとは思えない感じの恰好だった。  それでも普通に涼しそうだから、美優の恰好よりは正しいと言えるだろう。  俺は近寄りがたい空気に負けず、前進する。  急いでいるという姿勢はちゃんと見て欲しいため、走って、だ。  やがて美優に気付かれた。いや、気付かれてしまったというのが正しいのかもしれない。  自分から近づいて行ったんだけど、雰囲気的にはそっちの表現の方が合っている。  
/519ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9366人が本棚に入れています
本棚に追加